2006年01月11日

遺言状もってこい!?

「せんせい遺言状ってわかる?」

???

遺言状は分かるけど、診察室で聞く話ではあまりありません

「あのね、遺言状もってこいといわれたの!」

「私はね、先生にそういう病院があるってことを知ってほしくていっているの!」

話をよく聞くと

大腸ポリープのポリープ切除術(大腸内視鏡で大腸ポリープを切除する処置、内視鏡手術なので手術扱い)

の予約を取る際に、前医でそのように説明されたとのこと。

そういえば、「大腸内視鏡の際に、大腸に穴が開くかもしれません」

という趣旨の説明を前医でされて、驚いていた方も先日いらっしゃいました。

でも、この説明って・・  僕にいわせれば

あまりにもひどすぎる説明!!!!!

で、あるいみ脅迫に当たるような気がする・・  

だって



いや、その、

大腸に手術処置を行った場合に100%穴があくことがないといいたいわけではありません。

最近のご時世でもあり、

処置に伴う合併症の説明はきっちりすること!!

が、医療業界における仕事の大きな比重を占めるようになってきているのは確かです。

法律的な話でいくと、

0.1%以上の確率でおきうる合併症に関しては説明しなければ、医師が有罪になってしまうとのことです。

そんな中であるので、先ほどのような

「大腸内視鏡検査で大腸ポリープを切除したら、大腸に穴があいて、死亡することもあります、それでもよろしければ検査受けて下さい」

という趣旨の説明をしてしまっているのでしょう・・

とはいえ・・

大腸内視鏡のポリープ切除時における合併症では、

後出血(切除した傷から出血すること、自然に止まることもあるが、場合によってはもう一度内視鏡で止血処置(クリップや止血剤注射)を行う必要があることもある)が

前年度の僕の勤めている病院のデーターで0.8% 

ポリープを切除して大腸に穴があくということはもちろん、それよりも、もちろん低い確率です。
無理に大きなポリープを取りにいかなければ、限りなくゼロに近いはずです。

(僕に関してはいまのところゼロです)

なので、大腸穿孔の説明をするにせよ

「可能性としては低いですけど」

とか

「確率として1000件手術して1ー2件あるかないかくらい」

(多めにいっての数字です・・もちろん穿孔しても即命に関わることはありません)

とかいう説明をつけるべきだと思う。


ただ単に、リスクのみの説明を言うだけなのは

「自己保身のため」

と取られても仕方ないんじゃないかな?

インフォームドコンセント(説明と同意)ではなく、脅しに近いような気がする・・

あなたもそう思いませんか?

もっとも、

前医の先生が実際のどのような話をしたかは

僕は伝聞でしかないので、詳しくは分かりませんけどね・・


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1. 大腸内視鏡に際しての説明と同意(いわゆるインフォームドコンセント)  [ 無痛で早い大腸内視鏡検査の記録ブログ ]   2006年01月15日 00:28
大腸肛門外科医師 多田智裕の最新医療情報ブログ:遺言状もってこい!? - livedoor Blog(ブログ)「大腸内視鏡検査では、少ない確率ですが出血や穿孔の合併症が起こります。それでもよければサインして、サインしないと検査できません。」言い方は色々ですが、このような内...

この記事へのコメント

1. Posted by まりん★    2006年01月12日 01:01
そんな説明したら、ポリープでも不安の患者さんを 更に不安のどん底に突き落とすようなもんですよね。。「命を落としてもやむを得ない」みたいな。。。
最悪ですね。。。
医師という立場の前にひとりの人間なのですから、もう少し患者さんの気持ちを察して、その上で言葉を選んで話して欲しいモノです。。。
2. Posted by yasu    2006年01月12日 12:32
5 おひさしぶりです。元北区住人、現在NY在住のものです。
「0.1%以上の確率でおきうる合併症に関しては説明しなければ、医師が『有罪』になってしまうとのことです」っていうことはないんじゃない?起訴されるっていうこと?それとも民事でまける可能性があるということ?少なくとも0.1%の合併症に対する説明不足でがんがん起訴されたり、訴訟で負けたりすることになると本当に日本の医療はむちゃくちゃになってしまうと思う。
でも今の東大の術前ムンテラのマニュアルは、たしかに「0.1%以上の確率でおこりえることはすべて列記すること」になってます。たとえば、医者がリスクを回避して、本当に必要な医療を行わなかったりすると結局全体としては本来救われる患者さんが救われなかったりということになりますよね。。
3. Posted by 藪医者    2006年01月13日 04:21
1 患者さんへのIC(ムンテラ)を聞くと、その医者の技量が大体わかりますよね。
自分の身を守るのもわかりますけど、相手の気持ちを大事にしたいですよね。
4. Posted by nochu    2006年01月13日 16:52
むぅ、ものには言い方ってもんがありますよねぇ。
5. Posted by いのぶー    2006年01月13日 18:40
1000人にひとりの確率で、穿孔。との説明を私も受けました。
「でも、僕では、まだありません。」との言葉に救われましたが、最初のひとりになったら、どうしようとも考えました。
でも、考えようによっては、それだけ繊細な技術を必要とする手技なんですね。
患者側としては、医者を信じて治療を受けたいもの!!
2月の診察で、HNPCCの検査の中間報告を受けます。また、書き込みます。
6. Posted by 多田智裕 ?    2006年01月14日 23:40
5 まりん様 言葉を選んで話すことの大切さ、実感すること多々あります・・特に一日60ー70人の診察だと1人か2人に対しては「こう言い方すれば良かったな・・」と一日の後に思うことしばしばです。 今後も話し方には気をつけるよう心掛けたいです。
7. Posted by 多田智裕    2006年01月14日 23:45
5 yasu先生 ごぶさたです、コメント有り難うございます。

東大病院のマニュアルは、0.1%以上の確率でおこりえることはすべて列記することになっており、なぜそうなったかと言うと、0.1%以上の確率でおきうる合併症に関しては説明しなければ、医師が「有罪」になってしまうと専門の弁護士の先生がアドバイスしたからだと思う。
(リスクマネジメント講習会では、そのように弁護士の先生が実際におっしゃっていた)

でも、確かにリスク回避する医者ばかり増やしてしまう可能性ありますね・・
8. Posted by 多田智裕    2006年01月14日 23:53
5 藪医者様 はじめまして、コメント有り難うございます。
説明の仕方って、間の取り方一つ、接続詞一つの使い方で印象ががらっと変わるので、難しいですよね・・
僕もまだ修行中です
9. Posted by 多田智裕    2006年01月14日 23:55
nochu先生 そうなんですよね・・特に手術(または侵襲的処置)の場合は本当に、言い方一つで印象変わるみたいです・・
10. Posted by 多田智裕    2006年01月15日 00:06
いのぶー様 あるレベル以上の技術を身に付けていれば、ほぼゼロなんですけど、ゼロと断言できない所が医療の辛い所なんです・・ HNPCCの検査結果、僕の分かる範囲内であればもちろんお答えしますね

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